個人情報保護方針


 

経営講座の第89回目です。

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Question
身元保証人の責任

当社では社員の入社時に「身元保証書」を提出してもらっています。
基本的には社員に対する意識付けの意味なのですが、万が一社員が会社の
備品を破損してしまった場合、「身元保証人」に対してどこまで修理代を請求
できるのでしょうか。

Answer
傘修理代全額の賠償を求めることは難しいと思われます。詳細は解説を
ご確認ください。

(1)身元保証とは
「従業員が会社に損害を与えた場合に、その損害を賠償する約束」を「身元
保証」といいます。
そして、身元保証の義務を負う人を「身元保証人」といいます。

(2)身元保証人の責任
 身元保証人が負うべき責任は、基本的には約束(契約)の内容で決まり
ます。しかし、身元保証人の責任はそれだけでは決まらず、身元保証法で
制限されています。
 身元保証法第5条には、「身元保証人の責任の範囲を決めるにあたっては
労働者の監督に関しての使用者側の過失の有無、身元保証人が保証を
するに至った事由や払った注意の程度、労働者の任務や身上の変化等、
一切の事情を考慮する」と定められています。
 そのため、たとえば「身元保証人は労働者が会社に与えた損害の一切を
賠償する」と契約で定めていたとしてもその通りにはならず、ケースバイ
ケースに判断されます。

 また、従業員が会社に賠償すべき範囲を超えて身元保証人に請求する
こともできません。
従業員が会社に与えた損害を与えた場合でも、原則として、会社は従業員
に対して全額の賠償を求めることは、原則としてできないというのが基本的
な考え方です。一般論ですが、多くても4分の1程度に制限されます。そのた
め、身元保証人に対してもこの範囲でしか請求できません。したがって、
修理代全額の請求はできないと考えられます。