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経営講座の第63回目です。

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Question
事業用借地権の期間延長

当社は、いくつかの店舗を経営しています。
これらの店舗の土地については、所有者から20年間の事業用借地として
借りているのですが、そろそろ期間満了となってしまいます。
この期間を延長することはできないのでしょうか。

Answer
事業用借地権とは、専ら事業の用に供する建物の所有を目的とし、かつ、
存続期間を10年以上30年未満と定めて設定する借地権をいいます(借地
借家法23条2項)。事業用借地権では、法定更新等に関する規定の適用が
ないため、当初定めた賃貸期間が満了
すると、借地権は自然に消滅し、借地権者は建物を収去した上、土地を
原状に復して返還しなければならないこととなります。
 しかし、期間満了時にいまだ建物の耐用年数があったり、収益性も十分
あげられるなどの事情がある場今には、借地権者が契約の更新を望む
ことも少なくないようです。
 この場合、再度事業用借地契約を締結する方法も考えられますが、上述の
事業用借地権の性質に照らせば、それまでの契約が終了することにより、
一旦借地権者は建物を収去し、土地を明渡さなければいけないことになり
ます。そこで、建物の収去や土地明け渡しは行わない旨の合意書を貸主と
交わしておく必要があります。とはいえ、契約満了時に、貸主が再度の契約に
応じてくれるかはわからないですし、新たな契約ということになりますから、
これまでの契約と条件が同じになるとは限りません。例えば、貸主が賃料の
値上げを要求してきた場合、借り続けたいのであれば、要求に応じなければ
契約は成立しないことになります。
 これに対し、現在の事業用借地契約について期間延長の合意をする方法も
考えられます。上述の事業用借地権の性質からすれば延長は認められない
ことになりそうですが、法律上、事業用借地権の最長期間は30年とされて
いますから、この範囲内にとどまる限り、延長を認めてもよいと思われます。
この方法であれば、現時点で貸主が延長に合意してくれればよいということに
なります。
 なお、通常の借地権と異なり、事業用借地権は、公正証書によって契約しな
い限り、効力が認められないとされています。したがって、いずれの方法を
とった場合でも、新たな合意内容は公正証書によることが必要になります。