個人情報保護方針


 

経営講座の第62回目です。

                            経営講座バックナンバー
Question
賃料の増額請求

当社では、会社の所有する建物をある会社に貸しています。しかし、もう20年
以上貸しているため、周辺の建物の賃料額の半額程度のままになっています。
そこで、賃料の値上げを請求しようと思っているのですが、一方的に値上げを
することは可能でしょうか。

Answer
建物賃貸借については、借地借家法という特別法が適用されます。
同法では、建物賃貸借の貸主は、現在の賃料が不相当となったときは、借主
に対して、賃料の増額を請求できると規定されています(同法32条1項。なお、
借主から貸主に対し、賃料の減額を請求することもできます。)。
これに対し、借主が賃料の増額に応じない場合には、最終的に、裁判所が
現在の賃料が不相当であるかを判断することになります。その裁判が確定す
るまでの間、借主は、自らが相当と認める額の賃料を支払うことで足りるとさ
れています(同条2項)。
なお、裁判所は、賃料が「不相当」といえるか否かについて、下記の3つの要
素を考慮して判断しています。
@公租その他の公課(必要諸経費)の増減
(固定資産税、減価償却費、維持修繕費、管理費、損害保険料など)
A価格・経済事情の変動(建物価格、期待利回りなど)
B近傍同種の建物の賃料との比較
賃料を不相当と判断した場合、裁判所は、相当とされる賃料を算定することに
なりますが、その際には建物の鑑定評価を採用することが多いようです。

裁判所により賃料の増額が正当と認められた場合、貸主が増額を請求した
時点から、増額された額が賃料であったことになります。
 そうすると、借主は、賃料増額請求が行われて以降、賃料に満たない額しか
支払ってい
なかったことになりますから、賃料に不足する額に年1割の割合による支払
期後の利息を付して支払わなければならないとされています。

 ご質問では、賃料額を維持したまま、20年間にわたって建物を貸し続け、
周辺建物の賃料額とも大きな差が生じているとのことです。このような事情が
あれば、現在の賃料が不相当と判断される可能性が高くなると思われます。