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経営講座の第60回目です。

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Question
休職後に退職した場合の失業給付

私傷病により長期休職(1年半)していた従業員が、休職期間満了による退職となります。
退職後の失業給付を受け取るには過去2年間の間に12ケ月以上働いていることが必要だったと思いますが、その従業員は最近2年間で6ケ月ほどしか働いていません。
この場合、失業給付は受け取れませんか。

Answer
傷病による算定対象期間の延長によって、受給資格を満たすことができる可能性があります。

失業給付とは、厳密には、雇用保険制度が設ける複数ある給付のうち、一般被保険者が受け取る「基本手当」のことだと思われます。この基本手当を受け取るためには、ご質問の通り、離職の日以前2年間に、被保険者期間が通算して12ケ月以上必要というのが基本的なルールです。
なお、この「被保険者期間」とは、離職日よりさかのぼって1ケ月ごとに区切った各期間のうち、11日以上の賃金が発生した日(働いた日や有給休暇を取得した日、以下「賃金支払基礎日」といいます。)がある月を指します。
例えば、今年5月13日に離職した場合は、2年前の5月14日〜6月13日、6月14日〜7月13日、(中略)今年の4月14日〜5月13日までの24ケ月間のうちに、賃金支払基礎日数が11日以上ある月(14日〜翌13日までの区切り)を数えます。
賃金支払基礎日数が11日以上ある月が12以上あれば、離職後、失業中と認定された日について失業給付を受け取ることができます。ただし、求職活動をすることは必要です。

ご質問では、傷病により1年半の間休職されていたため、離職日から遡った過去2年間のうちに、上記の「被保険者期間」が12ケ月に満たない(受給資格を得られない)のではないかということを懸念されて
おられますが、この点には救済措置が設けられています。
具体的には、病気や怪我によって30日以上賃金の支払いを受けることができなかった場合、離職の日以前「2年間」を最長で「4年間」まで延長して、被保険者期間が通算12ケ月以上あるかどうかを判定できるとされています。離職される従業員の入社がここ2年以内であれば、仮に期間を延長しても、受給資格を得ることはできないことになりますが、長く勤続されていたのであれば、4年を遡ることで受給資格を満たす可能性があります。
なお、期間を延長するには、医師の診断書や健康保険の傷病手当の申請書の控えなど、“傷病によって30日以上賃金の支払いを受けることができなかった”事実を客観的に示す書類が必要になるので、ご留意ください。