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経営講座の第59回目です。

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Question
買った土地の面積が登記簿と違った

当社で購入した土地を実測してみたら、公簿面積より狭かったことが判明しました。売主には、登記簿上の公簿面積をもとに売買価格を支払ったのに納得いきません。売主に対して代金の減額を請求できないのでしょうか。

Answer
当該土地の売買契約が「数量指示売買」にあたれば、代金減額請求ができるものと考えられます。

土地売買の際の取引方式としては、以下の2パターンが考えられます。
@実測売買
契約書に不動産登記上の地積(公簿面積)を記載して一応の売買代金を定めた上、契約後決済前に実測を行い、公簿面積と実測面積の差について、契約に定めた単価をもって清算を行う取引方式
A公簿売買
登記簿の表示面積により売買代金を確定し、以後その金額を変更しない(公簿面積と実測面積との差を清算しない)取引方式

A「公簿売買」においては、ご質問のように、実際に面積を測ってみたところ、登記簿上の面積よりも小さかったという事態が起こりえます。
その場合、土地の売買が「数量指示売買」(民法565条)に該当するということであれば、売主に対して、代金の減額、契約の解除、又は損害賠償といった請求をすることができる可能性があります。ただし、例えば、契約書上、公簿面積が表示されていれば、ただちにこれに該当するというわけではありません。

判例上、「数量指示売買」とは、下記のように定義されています。
(i)売主と買主間において、売買目的物(土地)の実際に有する数量を確保するため、その一定の面積、容量、重量、員数又は尺度があることを売主が契約において表示し、かつ、
(ii)この数量を基礎として代金額が決められた売買
例えば、契約書の記載から、坪単価に面積を乗じて代金額が算定されていることが明らかである場合や、坪単価の値下げ交渉が行われていたなど、交渉の経過から所定の面積の存在が代金額決定の基礎とされていたと考えられる場合には、「数量指示売買」にあたるといえるでしょう。

 なお、今日においては、取引にあたり、土地の面積の測量が厳密になされていることが多く、それに基づいて代金が決定されている場合には、原則として「数量指示売買」にあたると考えてよいと思われます。