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経営講座の第58回目です。

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Question
債権放棄と損金算入について
当社は取引先に対し、約2,000万円の売掛債権を有していますが、取引先からは、月々10万円程度の返済しか受けられていません。このままでは、全額弁済を受けられるのはかなり先となってしまいます。
そこで、この売掛債権を放棄しようと思うのですが、損金算入できるでしょうか。

Answer
「寄附金」に該当するため、損金に算入できるのは限られた額になると思われます。
解説をご参照ください。

「寄附金」とは、寄附金、拠出金、見舞金その他いずれの名義をもってするかを問わず、内国法人が金銭その他の資産又は経済的な利益の贈与又は無償の供与をいうとされています。
ただし、金銭その他の資産又は経済的な利益の贈与であっても、交際費、広告宣伝費、福利厚生費などは除かれます。

ここで注意していただきたいのは、法人税法上の「寄附金」は、一般に考えられる寄附金よりも、非常に範囲が広いものだということです。例えば、募金をしたような場合には、一般的に寄附金にあたるといえそうですが、法人税法では、第三者に物品を無償で譲った場合や、時価よりも安い価格で譲った場合、本来受け取っていたはずの代金との差額が「寄附金」と認定されてしまいます。あるいは、会社が第三者に金銭を貸し付けていた場合に、利息を受け取らなければ、原則として利息相当額が「寄附金」と認定されてしまいます。
以上のように、会社が利益を追求しない行動をとると、「寄附金」として課税対象となってしまいます。

そうすると、ご質問のように、債権を放棄した場合(すなわち、債権を免除した場合)にも、免除した債権額の「寄附金」があったものとされてしまいます。そして、一般に「寄附金」を支出した場合、損金に算入できるのは、以下の計算式により算定された額までとなります。

(当該事業年度の所得金額の2.5%+期末における資本金等の額の0.25%)×1/4

なお、国・地方公共団体に対する寄附金や、例えば、国宝の修復などに対する指定寄附金などについては、全額の損金算入が認められています。