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経営講座の第162回目です。
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パートタイマーの有給休暇
●質問
パートタイマーに有給休暇を与えない方法を教えてください。当社は
シフト制なので、パートタイマーが有給休暇を好き勝手に取得し困って
います。
●回答
有給休暇を与えない方法はありませんが「有給休暇を好き勝手に使われ
てしまう」というお悩みであれば、 ある程度は改善の余地があります。
解説
労働基準法上は、どの様な雇用形態であっても6ヶ月継続勤務すれば
有給休暇の権利が自動的に発生します。有期雇用契約を更新した場合
であっても、継続勤務となります。つまり、これを絶対的に回避するには
、 6ヶ月以上雇用しなければよいということになります。もっとも、
これは現実的な方法でありませんので、有給休暇の取得自体をいか
に制度化するかを考える必要があります。
法律上認められている行為で、有給休暇の取得を制限する為の最も
効果的な方法は、あらかじめ有給休暇の取得日を特定してしまういわ
ゆる「有給休暇の計画的付与」です。
例えば、GWやお盆休み、年末年始の休業などをもとより出勤日とした
上で、有給休暇を強制的に取得することで、実質的に、有給休暇の
自由な取得を制限することにつながります。
次に有効な方法は、有給休暇の事前申請を義務付けることです。厳格
に事前申請を運用するだけでも、取得の意思は、意外と抑制される
ものです。もっとも、会社にばかり都合の良い制度になってしまえば、
不利益な取扱を強いているとしてトラブルや労働基準監督署の指導を
受ける恐れもありますので、「事前」の程度には、注意を払う必要が
あります。まず、有給休暇は、従業員の「取得時季指定の権利」と
使用者の「取得時季変更の権利」という二つの権利が認められています。
取得時季変更の権利を「時季変更権」と呼びますが、これは、従業員が
有給休暇を取得することで、事業 の正常な運営が妨げられる場合に
限り有給休暇を取得する時季を変更できる権利です。この時季変更権
の行使を、そもそも阻害するような有給休暇の取得、例えば、後日の
取得申請や、当日の取得申請は、望ましくありません。急な発病などで
、有給休暇として処理することが少なからずあると思いますが、それは
、単に会社側が従業員の便宜を図っているに過ぎません。有給休暇は
、あくまで事前申請が原則です。
では、本題の事前申請をどの程度の期間で行なわせるかですが、考え方
は「時季変更権の行使を判断するのに必要な期間」となります。
具体的には、代替要員の確保(シフトの変更など)を行なうのに必要な
期間です。つまり、代替要員の確保に、どうしても一週間かかるならば
一週間前の事前申請が適正と言えます。これを1ヶ月前の申請として
いれば、不当と主張されても反論が難しいと考えられます。また、注意
したいのは、後日の取得申請が原則として認められないように、後日の
時季変更もまた、原則として認められないということです。パートタイマ
ーが1人欠勤したことで、「事業の正常な運営」に支障が出たかどうかを
証明することは、非常に困難であり、代替要員の確保が出来なくとも、
その日の人員だけで、ともかく乗り切ることができれば、支障は
出なかったと判断されることとなります。
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