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経営講座の第161回目です。
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うつ病の従業員への対応
● 質問
労働基準法等
従業員がうつ病にかかり、体調の波があるため話し合いの上、休職に
なりました。業務が原因かもしれません。休職期間は最長で6か月です
が、当社の対応も含めて妥当でしょうか。

回答
発症した要因が業務上の原因によるものなのか、私傷病なのかで取る
べき対応が異なりますので、解説にてご説明します。
●解説
いわゆる精神疾患の発症原因やその症状には個人差が大きく、業務
が原因であるのか、私傷病によるものか の判断は、医師の診察が
必要になります。業務が主な原因であれば業務上災害、いわゆる
「労災」として認められることとなります。
労災として認められた場合と認められなかった場合に分けてご説明
します。なお、労災か否かは、労働基準監督署に対し労災保険の
給付申請を行なうことで結論が出ると考えていただ いて結構です。
保険給付が下りるなら労災として認められたこととなり、保険給付が
下りないなら労災ではなく、私傷病と なります。
<労災として認定された場合>
●治療費や所得の補填について
労災保険から給付が行なわれます。
治療費は全額支給され、本人負担はありません。所得補償が原則と
して休業が終了するまで行なわれます。 当初1年6ヶ月間は、「休業
補償給付」として支給され、1年6ヶ月経過後は、その症状が一定の
傷害等級に該当すると判断された場合は、「傷害補償年金」として
支給されます。
●休業の期間について
労災であった場合、会社は療養の為に休業している期間および休業
後出勤した日から30日間は、解雇する ことが出来ず、雇用を維持
しなければなりません。
例外として、療養の為の休業が3年を超えた時点で、労災保険の
傷病補償年金を受給している場合または、 受給することとなった
場合、あるいは、1200日分の平均賃金を支払った場合は、解雇の
制限が解かれ解雇 することが可能となります。
労災として認定されたなら、基本的には、就業に耐えられる程度に
症状が改善するまでは、休業が必要と お考えください。
<労災として認定されなかった場合>
●治療費や所得の補填について
健康保険から給付が行なわれます。治療費については、基本的に
3割の自己負担となります。所得保障として、傷病手当を受給する
ことが出来ます。受給できる期間は、受給開始から1年6ヶ月間です。
●休業の期間について
私傷病ですので、休業中の雇用維持の義務がないこととなります。
ご相談では、6ヶ月間の休職制度を設けておられるとのことですが、
仮に、休職期間満了時点で復職することが出来ない場合には、
自然退職とする取扱が定められているならば、その規定は有効と
なります。