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経営講座の第144目です。
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Question
消滅時効の基本

●質問
当社はサービス業で、料金は基本的に口座振替の形式でいただい
ています。ただ、場合によっては当社の銀行口座に振り込んでも
らうこともあります。その際、稀なことではありますが、支払期日に
遅れるお客様がいます。口頭でお伝えをすれば支払われている
ので大きな問題とはなっていませんが、当社が催促を忘れてしま
う危険性もあると思います。催促しないままでいるとどのような
不利益があるでしょうか。

Answer
最も大きな不利益は、消滅時効による請求権の消滅と思われます。
詳細は解説をご確認ください。

解説
顧客や取引先から料金、報酬、代金などを支払ってもらう場合、
法律的には、自社が顧客や取引先に対して料金等を請求する権利
を持っている状況と捉えられます。もちろん、顧客や取引先が
自発的に支払うことが求められるわけですが、そうならない場合
には自社がその権利を使って、顧客・取引先に対し支払いを請求
することができます。
ただ、このような権利は何もせずに放置すると、時効によって消滅
してしまうことがあります(権利が消滅するタイプの時効のことを
「消滅時効」と呼びます)。消滅時効のイメージは、「権利が使える
状態であることがわかっているにも関わらず、権利を使わずに
一定期間経過すると、権利自体がなくなる」というものです。
権利が使える状態というのは、ご質問の例で言えば、顧客に対して
料金の請求ができる状態を指します。自社のサービスに関する
契約が締結されたり、サービスの利用を開始したときから料金を
請求できることもありますが、一般的には、料金の支払日を決め
ていることが多いと思われます。その場合、その支払日までは
法的には料金の請求ができないことが基本です。つまり、支払日
を過ぎてから、料金を請求する権利が使えるようになるということ
です。また、一定期間というのは、基本的に5年間と設定されて
います。この2つをまとめると、ご質問のケースでは、支払日を
過ぎてから5年間、顧客に対し料金の請求を行わなければ、料金
を請求する権利が時効により消滅する可能性があるということです。
5年というと長く聞こえるかもしれませんが、ご質問にあるように、
一度失念してしまうとそのままにされてしまう危険性もあります。
支払日を過ぎても支払われていない場合には、できるだけ迅速に
顧客に問い合わせるよう徹底することが肝要です。
なお、消滅時効には細かなルールが多くあるため、顧客から
「消滅時効」と主張されたなど、懸念がある場合には弁護士に
相談することをおすすめいたします。