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経営講座の第141回目です。
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Question
基本契約書にかかる印紙税

●質問
当社は卸売業で、継続的に取引をしている取引先がいます。毎回
の取引は、取引先から発注書を送付してもらい、それに従って当社が
納品するという形式です。発注される個数は毎回異なりますが、商品
の単価や納期といった他の条件は毎回ほぼ同様です。そのため、
確認の意味も込めて、基本的な取引条件を契約書にまとめたいと
考えています。契約書に印紙を貼る必要があるかどうか、また、
あるとすればいくらになるのか教えてください。

Answer
「継続的取引の基本となる契約書」には原則として4000円の印紙税
がかかります。詳細は解説をご確認ください。
解説
ご質問を法的に整理すると、取引先とは毎回の発注書のやり取りを
通して売買契約が成立しているということになるでしょう。この契約は
納品が終われば終了することになるため、取引のたびに契約の成立
と終了を繰り返しているのが現在の状況です。
この場合、1つ1つの売買契約は全て別個であるため、たとえ毎回
同じような条件で取引をしているとしても、それが契約内容となるわけ
ではありません。つまり、前回までの条件が次の取引にも適用される
とは限らないということです。そのため、例えば、前回よりも短い納期
を求められる可能性がありますし、そもそも取引先が貴社と同じ納期
を想定しているとも限りません。このような懸念を回避するためには、
毎回の取引に共通の条件について、取引先とあらかじめ契約を結んで
おくことが効果的です。
そのような契約のことを「売買取引基本契約」などと呼びます。「継続的
に行われる売買契約(取引)に共通する基本の内容を定める契約」と
いった意味合いです。例えば、ご質問にある、「個々の取引は取引先が
発注書を送付することで行う」という内容も条件の1つですから、取引
基本契約で定めることが適当といえます。また、代金を支払う
タイミング(納品前か後か)や支払方法なども取り決めておくことが
便宜です。取引基本契約で定める項目は多岐にわたることが多く、
口約束だけではなく、契約書を作成することが一般的です。そうしな
ければどのような取り決めをしていたかが時間の経過とともにあいまい
になり、売買取引基本契約を締結した意味が薄れてしまうからです。
ただ、売買取引基本契約書のような「継続的取引の基本となる
契約書」には、1通につき4000円の印紙税がかかります。 もっとも、
目的物の種類、取扱数量、単価、対価の支払方法、債務不履行の
場合の損害賠償の方法、再販売価格のいずれの項目も含まれない
場合には印紙税はかかりません。ご質問の場合も、これらの項目を
定めた売買取引基本契約書を作成するのであれば、印紙の貼付が
必要となる可能性があります。しかしながら当方にて判定することは
叶いませんので、具体的には所轄の税務署に確認をお求めください。