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経営講座の第112回目です。
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Question
テレワークのコツ

新型コ口ナウイルス感染症の影響により、 当社でも在宅勤務を始めま
した。なにしろ急なことでしたので、なんとか機器だけ揃えてス夕ート
したのですが、 何に気を付けるぺきなのかわからないままです。取り
組む際に気を付けなけれぱならないことなどを教えてください。

Answer
在宅勤務を始めとするテレワ一クの実施にはヽ法的な側面だけではなく
実施する側の人の問題があります。 詳細は解説をご確認ください。

1.テレワ一クをする際に気を付けるぺき法律
テレワークという言葉に法律上の定義はありませんが、社屋とは別の
場所で行われる労働ー般を指して使われることが多いと思われます。

 労働の場所が通常時と異なるだけですので、労働基準法を始めとする
労働関係の法律の適用について、基本的には変わりません。前回の
経営者の知恵袋でも取り上げましたが、その中でも、労働時間の管理と
把握が特に重要となります。
 社屋の中で実際の労働を見ることができないため、従業員の労働時間
を把握することが比較的困難です。しかし、法律上は、客観的な記録
(従業員自ら改編できない記録)を用いて把握することが求められていま
す。したがって、テレワ一ク導入の際には最低限、この仕組みを何らかの
方法で構築してお〈ことが必要です。

2.テレワ一クのコツ
 もっとも、テレワ一クを成功させるためには、法律上求められているこ
とだけを遂行すれぱ良いというわけではありません。できれぱ、会社
運営にとってもっと種極的な意味を持たせる方が望ましいといえます。

 テレワ一クの場合、一般的に、記録の残せないアンオフィシヤルな
コミュニケ一ションは減っていきます。この点に見過ごせない問題がある
ことは後で解説する通りなのですが、コミュ二ケ一ションの記録が残ると
いうことは会社にとってとても価値のあることです。
 例えぱ、軽い議題について会議の代わりにチャツ卜ソフ卜を用いて議論
したとします。 そこでは、通常の会議の議事録のように決定事項が
メインに記されるのではなく、そこに至るやり取りが記録されていきます。

 そうすると、その会議がいつ始まっていつ終わったのかということが経
過とともに残ります。それを後から検証すれぱ、その会議が有意義な
ものだったのか、それともあまりいい経過ではなく、ただ堂々巡りで時間
が経っていったのかなど、主観的にではありますが、生産性を測ることが
できます。

 また、記録が残っていることで共有の幅も広がります。会議の参加人数
は、 多いとまとまりにくいというデメリツトがあります。そのため、
会議の決定事項だけを関係者に伝えるということは効率の観点から
重要なことですが、伝えられる側としては、決定事項の少し手前の部分
がわかった方が仕事に着手しやすく、効率も上がります。 口頭の会議
ではいかに議事録があったとしても必要な情報を取捨選択できないこと
がありますがすペての記録が残っているチヤツトであれぱ、必要な情報
を抜粋し加工して伝えることができます。

3.アンオフィシャルなコミュニケ一ション
 テレワ一クを始める際、多かれ少なかれ従業員は不安を感じていると
思われます。それはおそらく、出社すれぱ得られていた視覚的・聴覚的な
情報が入ってこなくなることが大きく影響していると考えられます。

 出社をすると、自分の仕事に直接必要な情報に限らず、実に様々な
情報が入つてきます。例えぱ、隣の席の同僚の独り言や、上司の機嫌、
忙しそうにしているか手が空いているかなど、視覚的・聴覚的な情報は
その代表といえます。これらは普段は意識することが少ないと思います
が、上司からすれぱ「(見た目として)手が空いてそうだから新しい仕事を
与える」という判断をすることがありますし、部下としては「今は機嫌が
悪そうだから相談は後にしよう」と思うこともあるでしよう。

 これらは明確な意思の伝達ではありませんが、仕事を円滑に進める
ため、あるいは自己の仕事の効率化のために必要なコミュ二ケ一
シヨンだといえます。そのため、テレワ一クになりこれらのコミュニケ一
ションが遮断されると、視覚的・聴覚的な情報から判断していた細かな
アクションができず、効率が下がってしまう可能性があります。

4.マネ一ジャ一、管理職に求められること
 このデメリツ卜はテレワ一クという特性上、完全に無くすことはできま
せん。そのため、可能な限りいつもと変わらない仕事環境やフ口ーを
目指したとしても、上手くいかないこことが多いと思われます。

 そのため、仕事のやり方に目を向けるのではなく、基本に立ち返り、
まずは「どうすれぱ組織の仕事が滞りなく進むか」という「結果」に目を
向けることが望ましいといえます。そうすることで、テレワ一ク下だから
こそ得られるメリットにも気付きやすくなり、「仕事の手を抜いていない
か」という、確かめることが非常に困難な指標ぱかりに気を取られる
ことも少なくなります。マネージャーや管理職に求められる役割や必要な
スキルは、時代の流れとともに変わってきています。新しいことに挑戦
しなけれぱならない状況では、中間層の活躍が不可欠ですので、
ご参考にしてみてください。