個人情報保護方針


 

経営講座の第111回目です。
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Question
損害賠償を免除する条項

当社はスポーツジムを運営しています。現在、個人会員に対する契約書
の見直しを行っているのですが、当社が損害賠償責任を負わない旨の
条項を盛り込もうという話になっています。
何か問題はあるでしょうか。

Answer
消費者契約法により、消責者の利益を不当に害する契約条項は無効と
なる可能性があります。
解説をご確認ください。

消責者契約法は、消費者と事業者との契約(消責者契約)に関するトラブ
ルの公正かつ円滑な解決などを図る法律です。この法律は、消費者と
事業者との間に存在する「情報の質や量、交渉力の格差」に着目し、消責
者の権利を保護することを目的としています。
一般的に、事業者は、取り扱っている商品やサービスに関する情報を
消費者よりも多く保有しており、取引における交渉にも長けています。
また、自社の事業に関連する法律や商慣習については消費者よりも
詳しく、契約条項も事業者自らが作成したものであるため、ひとつひとつ
の条項についての知識もあります。このような格差によって消責者が被害
を受けることがあるため、消責者が特別に保護されています。

ご質問の契約も消責者契約に該当すると思われ、そのため消責者
契約法の適用があります。
契約書の見直しにあたり、損害賠償責任を負わない旨の条項を盛り
込もうとされているとのことですが、事業者の損害賠償責任をすべて
免除する条項や、損害賠償責任の有無や限度を事業者自らが決定する
条項は、消費者契約法により無効とされます。例えば、下記のような
条項です。

例@「当社は、会員の施設利用に際し生じた損害、盗難等の人的・物的
ないかなる事故についてもー切責任を負いません」
例A「当社が過失のあることを認めた場合に限り、当社は損害賠償責任
を負うものとする」

消責者と締結する契約書を見直す際には、消費者が一方的に不利な
条項とならないよう消費者契約法に注意を払う必要があります。