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経営講座の第108回目です。
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Question
取締役の欠員

 当社の取締役から辞任届が提出されたため、退任登記の申請について
インターネットで調べていたところ、このままでは登記申請を受け付けて
もらえないといった記事がいくつか出てきました。
 当社に取締役会があることが関係しているようなのですが、どういうこ
となのでしょう。なお、3名の取締役のうち、1人から辞任届が出されました。

Answer
会社法では、会社組織に応じて、企業運営になるべく支障が生じないよう
取締役(役員)の最低人数が定められています。 解説説をご確認ください。

 取締役は、事業戦略を決定し、経営資源を適切に配分する等、会社の
運営を行っていくことを業務の中心とする役員です。 株式会社において
は必要不可欠な存在であることから、会社法は、「取締役を1人又は2人
以上置かなければならない」と定めています。このように、取締役は1人
でも構わないのですが、 貴社のように取締役会がある会社の場合、
「取締役は3人以上置かなければならない」というルールが会社法
で設けられています。取締役会は業務執行の決定を行う機関であること
から、その最低人数を「取締役3人以上」とすることで、取締役会におい
て多数決の原理が働く仕組みを確保しています。

 ご質問のように3人の取締役のうち1人が辞任する場合、 このままでは
取締役会の最低人数を下回ってしまうため、会社法には、そのような
場合のルールがあります。それは、役員が「辞任」または「任期満了」で
退任することで、取締役(役員)の人数が会社法上の最低数を下回る場合、
退任した役員は「後任者が就任するまで、 取締役(役員)としての権利・
義務を有する」というものです。つまり、退任しても取締役の権利義務が
まだ続くということで、その結果、退任の登記もできないということにな
ります。
 この権利義務は「後任者が就任するまで」継続するため、後任者が
決まり、その就任登記を行えば、前任者の退任登記をすることができます。

 なお、取締役(役員)が退任する理由としては、上記のほか「死亡」や
「欠格事由への該当」「解任」があります。これらの理由による退任の
場合、最低数を下回っても権利義務は継続しないとされています。 死亡
の場合に取締役としての権利義務が継続しないのは当然ですが、欠格
事由への該当や解任でも継続しません。これは、 欠格事由への該当や
解任の場合、取締役としての適格性に不安があり、権利義務を継続
させることが妥当ではないためです。